lost child


「一樹! 早く起きなさい! 学校よ!
 始業式じゃないの! 」

布団をばさりとめくられて、一樹は低いうなり声をあげながら縮こまる。


ん?

一樹は目をパチリと開いた。


「母さん……? 」

布団をめくったのは少し若い母さん。

「ほら、早く顔洗って!」
母はそう怒鳴って部屋をでていった。


「まさか……」

一樹は自分の手や足を見る。
……小さい、よな。


ダダダダダッ、と大きな音をたてて、猛スピードで洗面所へ向かう。

鏡を見て、唖然とした。

やっぱり……子供だ。





両親に、相談してみた。

「27歳です」

勿論、子供の冗談にしか聞こえないらしく、笑われた。




通学路……今も覚えている。
にしてもランドセルはこんなに重たいものだったっけ。

「おい、寿司屋のやつ!」

叫んでみる。


誰もこない。


ん、いや……来た。


「かっずきー!」
広志が後ろからとことことかけてくる。

「広志……」
一樹は振り返って、広志を見つめる。
「やっほー。早くしねーと遅刻だぞ!」
広志はそう言うと一樹の肩を一度ポン、と叩き、手を握って一樹をひっぱってゆく。

「わ、ちょっ……いたっ」

一樹はひっぱられながらも一緒に走りだす。

懐かしいなぁ……。



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