lost child
「わ……っ」
ナイフがシュウの肩をかすめた。
「しゅ、シュウ!? 」
「シン……逃げないとっ」
シュウが即座にシンの腕を掴み走り出す。
「……うっ、わぁぁあっ」
いきなり、シンが持ち上げられた。
「逃げれると思ったかよ。ガキが……」
男はガッシリとした腕で、シンの喉を掴んでいる。
「……!」
シュウが思いついたように、シンのパーカーから滑り落ちたサイダーを拾った。
そしてそれを思い切り男の顔に――
「うっ……」
男が怯んだ。
その隙にシンが走り出す。
はぁ……はぁ……。
シンは思い切りはしりすぎて、息をきらす。
「もう……大丈夫かな」
紳士服売り場の隅に、シンは腰をおろした。
スーツの新しい匂いがする。
「ねえ、しゅ……う?」
しゃがみこんだシンがあたりを見回したが、シュウの姿がない。
「あれ……?シュウ?……シュウ!?」
返事は無い。
どこかではぐれた……?
走るのに……逃げるのに夢中だったシンにシュウとはぐれた記憶が一切無い。
もしかすると、最初からシュウは一緒に逃げてなかったかもしれない。
いや、もしかするとシュウは今日一緒にデパートにきてなかった?
もしかしてシュウ……もともと存在してなかったんじゃ……!!
「……それは、無いか」
シンは深呼吸をして、呼吸を整え、再度あたりをみまわす。
人の気配は一切ない……無音。
とりあえずシュウは別のルートで逃げたのだろう、とシンはそう考えた。
あの男に捕まったなんて考えてやるもんか!
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