lost child


家に帰ると、両親は泣きそうな顔……いや、既に泣いている顔で僕達を歓迎した。

「どこにいってたのよ、シン!」
嬉しいような悲しいような顔で母が聞いた。

「皆でデパートにいってたら、いつのまにか暗くなって……それで……」

「そう。心配したのよ?シンは可愛いから誘拐されたんじゃないかって」
御母さんはわんわん泣きながら言う。

「僕男の子だからそんな事で誘拐されないよ」

御母さんは過保護だ。

「で、何もなかった?」

「う、うん…」

「ほかの子達も皆帰ったの?」

「うん。みん……な?」

シンは顔をしかめた。

あれ……?何か、忘れてない?


母が連絡していたらしく、夜、シンは警察の人と色々話をすることになった。


「眠い……」

「私も……」

学校につくと、皆で階段の踊り場に集まった。

シンと、サナと、シュンと、サキ。

みんな、集まった。

「昨日は皆大変だったね……」
シンはため息をついた。

「うん、朝まで居たらもっと大変だったかもしんねえし」

「今頃になってシンに感謝だよぉ」
サキがシンの頭をなでる。

「僕に?」

「あったりまえじゃん。帰ろう、って言ったのシンでしょ?」

「あ……そっか。照れるなぁ」
シンが少し顔を赤らめた。

「あ、もう50分、先に教室戻るね!日直だからー」
サキはそういうと、階段をジャンプしながら降りていった。

「俺もいく!」
シュンも転びそうになりながら、サキについていった。

「じゃあサナ、うちのクラス次移動だから僕も…」
立ち上がった僕の腕を、サナがぐいっ、とつかんだ。


「待ってよ、シン。私、何か……」

「サナ?何……?」
シンはおどおどとした目でサナを見つめた。

「何か忘れてる!絶対…」

サナは泣きだしそうな顔でそう言った。

「へ?忘れてる……?えあああ、だ、大丈夫?」
シンは焦って心臓がばくばくとした。

「思い出せないけど。絶対思い出すわ……」

「……?」

サナはそういうと、教室にもどっていった。


サナ、どうしたんだろう……。

シンはその次の授業が耳に入らなかった。

サナが泣いた顔なんか初めて見た。女だけど、気が強くてリーダーシップがあって…。
昨日、皆でデパートにいってちょっと変になったかな?

ん、皆……?
サキと、シュンと、サナと、自分と…。

考え事をしていると、シンはいつのまにか眠りについた。



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